なまぶし初挑戦

 家の東側の地面に蕗がたくさん育っています。雪もまだ残る頃は蕗のとうをてんぷらにして楽しみましたが、今回は茎を使ってみました。手入れしなくかってに育ってもらってる蕗なので、かなり細い茎ですが、熱湯で茹でるとき、ふわっと香りがたち食欲を誘います。

 こういう香りのものは子供の頃は苦手で、またそれと合うような食べ物もあまり食べられませんでした。子供の頃苦手のベスト10に入るお料理で、「なまぶし(なまりぶし)の煮物」がありました。得に私の母がつくるなまぶしの一品は味も薄味で素材の味がストレートに伝わるところが、子供の口に合わなかったのかもしれません。
 ”京のおばんざい”で、大村しげさんが、なまぶしを焼き豆腐と煮たものについて書かれている中で、「なまぶしの味がしみた焼き豆腐を食べたいためにこのお料理を作る」というところがすごく気になっていました。苦手なものであっても大村しげさんの言葉で、食べてみたくなるので不思議です。”京のおばんざい”は、秋山十三子さん、大村しげさん、平山千鶴さんが京都のおばんざいについて書かれた本です。三人で「料理の作り方を紹介するだけにはしないでおこう」とお話合いされて書かれたということで、どのお料理について書かれても、京都の生活のにおいが感じられるステキな一冊です。なので、分量などは書かれてなく雰囲気をつかんで再現してみました。

 なまぶしは、酒塩で炊き....というところ、鍋にお酒と塩を入れ煮立たせ酒炒りをしました。別の鍋でだし汁、お酒、お醤油、砂糖を煮立てて、酒炒りしたなまぶしを入れ、6.7分煮てから焼き豆腐を入れ、味がしみてそうなころに下ゆでをした蕗をいれて仕上げました。大村しげさんの書かれるとおり、焼き豆腐も美味しく、苦手だったなまぶしは酒炒りのおかげか美味しくいただけました。または、大人になった口に合ったということかもしれません。