極めたいうどん、そばのつゆ

 小さい頃はうどんを「平野や」さんと言ううどん屋さんから出前してもらっていました。家族みんながそのお店で働いていて、うどんやお蕎麦を作るのと出前は”おじいさん”と”おとうさん”でした。土曜日のお昼や忙しい日は「平野や」さんが大活躍。近所の他のおうちも、良く頼まれていたみたいで、”おじいさん”と”おとうさん”のカブのエンジン音がひっきりなしに響いている日もありました。そんなに流行ってたのにお店を閉めてしまってカブのエンジン音も今は聞こえなくなりました。
 「平野や」さんでなく、母が作る事もありましたが、お店で作るうどんつゆと家で食べるうどんつゆの味はいつも違うものでした。母もお店の味を目指してなかったので、それはそれで
違うお料理として美味しいモノではありました。ちょっぴり薄味のうどんつゆ、母にはそう言ったことはありませんでした。
 年末に錦市場で出汁のために鰹節のお店へ相棒さんと行き、その時に彼が鰹節だけでなくめじか削りも買っていました。「何を作るの?」と聞くと「うどんのおつゆを極めたい」のような答え。おいしいうどんが食べられる!と期待をしていました。そして、”マイ平野やさん”は、何回か作ってくれ、お店のような「うどんつゆ」が作れるようになりました。

 福井で、半生のお蕎麦を買っていたので、お昼につゆを作ってもらって「きざみそば」をいただきました。私がつゆを作ろうとガチャガチャしていたら、心配になってキッチンへ来て選手交代してくれました。昆布、鰹節、めじか削り、あごだしなどを色々混ぜて基本だしを作り、塩、みりん、お醤油で美味しい「うどんつゆ」でなく「そばつゆ」が出来上がりました。私の役目はお揚げさんを刻んでネギをなんばん用に斜め切りにしたくらいでしたが、「平野や」さんの奥さんもそういう役割だったとかってに想像しています。