すり鉢を探して


嫁入り道具を揃えるのに、調理器具を母や妹と一緒にいろんなお店へ行ったことがありました。ある商店街のおしゃれなキッチン用品のお店へ、妹についてきてもらったときの事です。「すり鉢」を買うつもりでお店で探していたのに私が思う「すり鉢」がありませんでした。私が思う「すり鉢」とは「木でできたすり鉢」実はそんなものは存在していなかったのですが、実家にあった焦げ茶色の「すり鉢」をず〜っと木で出来ていると思いこんでました。
 お店の人に「木のゴマすり鉢ないのですか?」と聞いてみたところ、「そんなのはないですよ」と女性店主。ついてきてくれた妹も「お姉ちゃん、そんなのない、って」と言ってましたが、私の思いこみは強く「きっとあるはずです。ずっと母が使ってましたから」と言いながら諦めきれないでいました。妹は少し困っていました。とうとう女性店主に「木のすり鉢ね。あるかもしれないけど...うちにはないですね」と言わせてしまいました。欲しかったすり鉢がないから間に合わせでいいかな、とかなり妥協して陶器のすり鉢を買って帰りました。真っ白なすり鉢なんて見たことないな...と買い物袋から出して洗おうとしたら、なんとサクランボウのイラスト入り!!当時シンプルなデザインを好んでたので、他のキッチン用品の中でかなり目立った存在の「すり鉢」。
間に合わせで買ったつもりのサクランボウの白いすり鉢は今も健在であります。