金亀、岡村本家でみつけた味と古きよきものへの熱い思い


 先週、彦根のKさんのご紹介で滋賀県豊郷町、岡村本家、金亀さんの酒蔵訪問させていただきました。岡村さんにお会いする前に、岡村さんの奥様とお会いして、岡村さんが帰って来られるまで蔵やお酒のご説明をしていただきました。とても優しく丁寧にお話していただきました。お話を聞きながら、金亀のお酒が並んでいる棚で「どれがいいかなあ」と思っているところ岡村博之さんが帰ってこられて、奥様からバトンタッチされました。そのお酒の棚の前で、岡村さんが、「ご自分で辛口だと思われてるお客さまが、帰りには必ずといっていいほど甘口の”純米80、金亀”を買って帰られます。」と言われました。お酒好きな人って「甘いモンは通の飲むモンじゃあない」と言いそうだし、思ってそうだし、実際私も甘いのはベタベタするなあとお店では、「甘口」と書かれてると頼まなかったりしてたのを思い出しました。

 蔵の中を色々ご案内していただき、丁寧にご説明していただきました。丁寧さは説明だけでなく、お酒を作ることにもとても丁寧さを感じました。そして、古いものをとても大事にされていることからも、古くからの技術を大切に生かしながらのお酒作りをされていることがわかりました。印象的だったのは、お酒の絞り方です。金亀さんでは、昔ながらの絞り方でされていました。いくつもの袋にお酒を詰め、舟に並べては、その袋を重ね、またその作業を繰り返してから、重しをして絞られる方法。袋に詰める作業だけでも大変です。じんわり絞ることでいい味がしぼりだされるのだと思います。
 「古いものを大切に」その気持ちは、自分の蔵だけでなく地域にまで、こめられていました。古くからある建物は、デザイン的にも優れていてしっかりした作りでありながら、継承する者がいなくなり、取り壊されたり新しい建物に変わってしまうことが多くあります。それではいけない!と滋賀県立大学の環境建築デザイン専攻の学生さんも交えて古い民家を使える形に生き返らせるプロジェクトもされています。すごいなあ〜!思いを実現させるパワーを感じると共に、古き良きものを大切にすることが、お酒作りに生かされてるとあらためて感じました。金亀さんのすぐ横で学生さんだけで経営しているタルタルーガというバーもあり、次回はここでお酒をいただきたいなと思っています。

 最後に、お楽しみ試飲タイムがやってきました。ずらりと並べていただき、杜氏さんも交えてのご説明も興味深かったです。順番にいただいて、また気になるものをいただいて.....と繰り返し、最後に「一番好き!」と思ったお酒は磨き20%の純米80金亀でした。結果的には一番甘い味のもので、自称辛口党さんが買って帰られるというお酒でした。私にとって甘い味、甘みがとても新鮮で、新しい出会いに感じました。味をみつけた嬉しさとと古くていいものを大切にされてる気持ちに触れてとてもいい蔵訪問となりました。